女性が出会いたい男性像?!

新たな、多くの女性との出会いを求めて、彼はさっそく出会い系サイトに登録することにしました。もちろん、このときにはまだ、利用を始めさえすれば、女性と出会うことなどたやすいことだと思っていました。そのため、いわゆる出会い系サイト攻略などといった、ハウツーサイトには目もくれませんでした。

「要は、女性受けしやすいプロフィールとメール文章を考えればいいだけのことだ。」彼は瞬間的にそう思い、本来の自分のものとは全く違った自己紹介文を作り始めました。年齢は29才。本当の彼の年齢は34才でしたが、この年で積極的に出会いを求めると、婚活をしていると思われるかもしれません。

また、20代前半の女性であれば、本当の自分の年齢では捕まえるのは難しいのではないか、とも思いました。このくらいが、どの年齢層にも対処できるのだ、と彼は息巻きました。職業は経営者。実際は、自動販売機やドリンクバーの機械の修理や点検をしている彼でしたが、本当のことは書けない、と思いました。経営者であれば、お金を持っているだけではなく、精悍なイメージがあり、女性からすれば最高の肩書きだろう、と考えたのです。

青年実業家、という言葉とどちらを使おうか迷いましたが、よりスマートな印象を持つ経営者、としました。ここまで書き上げたとき、彼は自分ではない他の男性が、出会い系サイトの中に出来上がっていくような錯覚に襲われました。少しだけ怖さを感じた彼は頭を振ってそのイメージをかき消し、次の欄にすすみました。

出会いへの大きな期待

こうしてたくさんの嘘で彩られた彼のプロフィールは完成しました。誰よりも優れている鋼の武器を手に入れた彼は、早速、女性を探しに出会い系サイトの中をウロウロし始めました。友人のすすめ通り、やはり、出会える可能性のある女性の数という意味では、ナンパなど比較の対象にならないほどでした。年齢層も幅広いですし、何より、趣味や年齢などがアプローチの段階で分かっているということは、ありがたいことでした。

会話に困ることもあまりなさそうですし、行き当たりばったりで声をかけるのとは違い、じっくりと吟味することができます。そして、意外にも真面目そうな女性が多いことに彼は驚きました。自分勝手な思い込みではあるものの、アシュレイ・マディソンの利用者は、性欲に満ちた人妻や一風変わった人なのだという先入観があったのです。もちろんそのような利用者もいるのでしょうが、絶対数は少なく、それよりもいわゆる普通の子、という感じの女性が多く見られました。「友人が言っていたのはこういうことかもしれない。」と彼は思いました。

ナンパでごく普通の真面目な女の子を捕まえるのは、とても難しいことで、何回も声をかけている彼でさえ成功率はほとんどゼロに近いものでした。メル友としてであれば、彼女たちと接する機会を持つことができるし、うまくいけば実際の出会いにもつながるかもしれません。彼は、来週から週末が忙しくなるかもしれない、と意気揚々と眠りにつきました。